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「襟足の産毛が長くて汚い」と彼に言われた



「襟足の産毛が長くて汚い」と彼に言われた

かなり私は毛深い

すでに、幼稚園のころには男子から「おまえの足は、お父ちゃんよりモジャモジャ」と言われていた。

だから、子供のときから剃刀や毛抜きを使い、最善をつくしていた。

だから、無駄処理歴は、同い年の人よりもずっと長いのである。
もちろん、そのぶん肌はダメージを受けているのもよく知っている。

しかし、それは鏡を見てじぶんで確認できる範囲のことでしかなかった。

好きだった人と花火大会に

年頃になって、当時好きだった人と花火大会に行く約束をした。「花火大会」という非日常にドキドキして、何を着ていくか、などいろいろ考えてひとりで興奮しては冷静になり、を繰り返したのを覚えている。

結局、せっかくだから、浴衣で髪をアップスタイルにまとめるということで落ち着いた。
紺地の大人びたデザインの浴衣にあわせて、夜会巻き用の櫛も新調した。

この櫛が一本あれば、ピンやゴムを使わなくても、じぶんで夜会巻きに結えるというコンセプトの髪飾りである。

水色のラインストーンがキラキラとしていて、おまけに動くたびに、星のかざりが揺れる斬新な髪飾りは、後姿を色っぽく演出する最高の小道具になる予定のはずだった。

ところが、いざ、正装して待ち合わせの場所に行くと、なんだか彼の様子がおかしい。

たしかに、浴衣はほめてくれたし、なにがどうとも、なかなかいえないのだが、明らかに興ざめしているのがわかった。

どうしてだろう、と考えながら、いやいや、私の思いすごしだろうか。深く考えすぎかもしれない。きっと、被害妄想だろう、などと都合よく解釈をしてみた。

すると、その日の別れぎわに、「後ろ鏡見てきた?」ときかれた。

襟足の産毛が・・・

単刀直入にいえば、襟足の産毛が長くて汚い、とのこと。

すでに、髪なのか、産毛なのか見分けがつかないほどに毛深い私のうなじを目にして、彼はどうも、下の毛を連想したらしい。

にもかかわらず、それを強調するような派手な髪飾りをしているものだから、目のやり場にこまったそうだ。

はりきっておしゃれをしたつもりなのに、こんな落とし穴があったなんて。

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